いちばん簡単に現われて,いちばん怖い,いちばん強力なコンピュータウイルスはなんだろう。あるエンジニアが考えに考えた末に出た結論は,自分の中に巣くっている間違ってファイルを捨ててしまう「うっかり」,というものだった,とさ。
300人のシステムマネージャーを調査した結果によると,頭の痛いデータ喪失の原因として,88% がうっかりした間違い削除と回答。ウイルスを原因にしたのは3%しかいなかった。2年前の調査では間違い削除はウイルスによるものの5倍だったが,今回は30倍にふくれた。
メリッサウイルスやWorm.ExploreZipなどが大きく喧伝されているせいか,アンチウイルスソフトをインストールしているマシンは多く,ファイルが消失するような被害を招くウイルスの被害に遭うことは少ない。もちろん遭ってしまうと大変なことになるのだが。それにくらべて,うっかりファイルを捨ててしまうというのは簡単に起こりえる。バックアップをとっていても,ファイルの削除は時を選ばずにされてしまう。昨日作ったファイルが今日ないという場合は,バックアップがない可能性は高い。また,バックアップをとっていても,メディアが破損したり,コピーの際の間違いなど,100%の信頼性がないからどうしようもない。マーフィーの法則っぽくいえば,必要なファイルほど取り戻せない可能性が高い,からね。
私も,ノートンユーティリティーのアンイレースを使うことがたまにある。なんで消しちゃうんだよ,なんてぐちぐち文句を言いながら。そして,気付く。コンピュータウイルスなんぞより,よっぽど怖いのは,自分の不注意なんだ,ってね。ウイルスにやられたのならまぁしょうがないやと諦められるものの,自分でゴミ箱に持ってって空にしちゃったものは後悔のしょうがない。コンピュータはまだ「人間」が使う道具でしかなく,人間というのはミスを犯す生き物であるというのを思い起こさせられるのだ。ちゃんちゃん。
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